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ありがとうございます。 / 発言者:Ritsuko Mimura

昨年の暮から入院生活をしている母ですが、入院して一ヶ月でできた褥瘡が、あっという間に大きく深くなり、その治療が続いています。栄養は癌細胞に取られるため、大きくなるのを食い止めるのが精一杯で、治療をしてもよくなることはないとのお話しが主治医からありました。また、癌による痛みも増してきているという説明を受けました。
 兄はすっかり、その空気に飲まれ暗い顔をしているのですが、私には到底受け入れがたい内容でした。その後、主治医は、私が不在で、兄だけのときに、母の病状を説明し、強い痛み止めの薬をすすめるのです。看護師は、母のベッドにきては、「痛いときは我慢せず、痛み止めを飲んで楽になったほうがいい。」と、言うのでした。痛み止めの薬を、医者や看護師からそのように勧められたと母から聞きした。まるで、あなたはもう、助かりませんよと、念を押されているように聞こえるのです。治癒することはないと決めつける病院側の話の理不尽さは、国の制度や病院の仕組みからくることです。母には、入院三ヶ月を過ぎると、仕方のないこととだと、話しました。実際、体重は入院生活が始まった頃より8キロも少なくなり、日に日に痩せています。褥瘡洗浄の際に、私はよく立ち会わせて頂くのですが、悪化する患部から溢れでる膿の量に、嘆く日が続きました。
 そんな ある日、母の褥瘡を見ていると、ふと、母の性格や心配事が感じられてきました。20年以上、使っていないハナレのことです。そのハナレから見える田園風景は美しく、楯築遺跡の山が見え、私の最も心落ち着く場所でもありました。それが、20年以上も物置となり、手のつけられない状態になっていました。私は、何日もかけて、荷物を片付けました。
 そして、名取の高句麗伝説の日、やっとその部屋の荷物が片付き窓を開けました。南の方から心地よい風が入ってきたのです。その風に吹かれていると、多くの魂が、光と出会うことを待ち、私を応援してくれているようにも感じられました。壁に白い漆喰を塗ると、外からの光を受け明るくなりました。母にその明るくなったハナレの写真を見せるととても喜んでくれました。
 数日後、看護師さんから、母の褥瘡が小さくなったと報告を受けました。更に、月に一度の体重測定では、3キロ近く増えていました。いろんな要因があって、褥瘡は治癒しつつあると想像できますが、応用コースで空間が変わると病気の人もよくなるとのお話を聴き、本当にそのように感じられる母の病状でありました。医者の説明通りにならなかったことは、何より嬉しいことです。母の末期がんによる痛みは増しているようですが、高麗さんのお兄様の話や、末期癌で5年10年生きた人の話をして、ひたすら病院の空気に染まらぬよう見舞っています。どのような状況であっても、人間の体は生きている限り、治癒するということを見させて頂いています。ありがたい限りです。10月23日が大きな節目になると感じます。ありがとうございます。

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