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中学教育に関して / 発言者:tmiyazaki

  わたしが今出向している私学では、7、8年前から中学校がうまく機能していないという。中学を担当した教員の多くがノイローゼになり休職を余儀なくされてしまうのだ。一貫で高校生になった生徒を担当してみると、あまりにも幼く、思考力が乏しく、勉強ができないので、高校から受験して入ってきた生徒のクラスとの差が歴然としているので、だれもが驚いている。別に中学担当の先生が能力的に劣っているわけでもない。あまりにもクレーマー的親がたくさんいて、話にもならない。弁護士を立てての係争事案も二つ抱えているという。もう中学部を廃止するしか、学校を存続する道がないとまで言い切る先生もいる。公立校の落ちこぼれしか募集に応じるものがなく、なりふり構わぬ生徒集めが原因であると、みんな思っている。熾烈な受験教育に走るのでなければ、もう私立中学には人が来ないのだ。しかし、だからと言って手をこまねいてばかりはいられない。別に経営者ではないが、教育に携わるものとして、気になる問題である。
  今日も一貫の高校一年生で授業していたら、もう口々に勝手なことばかり言って、うるさくて仕方ないので、つい大きな声を出し、「少しはまわりのことも考えろ!」「ふざけてばかりいて何とかなると思っているのか。」と叱る。しかし、叱られ慣れているのか、その時だけですぐにまた騒ぎ出す。もうお手上げ状態。ノイローゼにはなりたくないので、放っておく。
  ただ、ひとつ気づいたことはある。それはかれらが注意されたがっていることだ。現に「もっと怒ってくださいよ!」と言って、職員室までついてくる生徒もいるのだ。つまり相手にしてほしいのだ。勉強嫌いな、落ち着きのない自分だけれど、無視しないでくれ、と心で叫んでいるようにも思えた。ついつい大きな声を出し、顔を真っ赤にして、こごとを言うのは疲れもするのだが、かれらはそれを求めているのかも。
  学校教育のことは、みんなで考えて、先を創るべく英知を集めるべきだと思う。平田オリザさんのように、地域でのコミュニケーション教育の実践に力を注いでいる人もいる。教師をノイローゼに追い込まないで、生徒をダメなまま放置しないで、個性と才能を伸ばし、多様な在り方を輝かすような教育を模索したいものだ。

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