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浮き出るもの / 発言者:Kazue Fujiwara

昨日の朝目覚めた時、部屋のカーテンにカマキリの赤ちゃんが目の前にいて驚きました。朝日の中で白いカーテンと綺麗な黄緑の小さな体が美しく、亡き父が会いに来てくれたと感じ、思わず「大丈夫だよ」と涙ぐみ一日が始まりました。午後は麻酔科の先生の説明を受けに病院に行きましたが、「全身麻酔による子宮全摘手術に間違いありませんか」と問われ、思わず「分かりません」と答えると同時に、疑問が湧きました。「1番最初の説明では子宮体ガンの為、子宮と卵巣、骨盤リンパ節を全て摘出すると聞きました。ガンが転移していないかMRとCT 検査をした結果は何も聞いていませんが、子宮だけになったのでしょうか」と問うと、医師は慌てて今口にした言葉を否定するかの如く、「分業なので麻酔の事しか話せません。それ以外は主治医に確認してください」と、私を非難するかのように強い口調で言い返したのです。その慌てぶりと豹変する様が、あまりにも滑稽でした。自分で確認しておきながら、都合が悪くなると否定し、そのくせ同意書にサインを求めるとは矛盾しています。大事な自分の体の一部を失う気持ちが、分からないのでしょうか。一人の患者を前にして、分業と言い切る神経がやりきれません。様々な思いで三鷹に向かう中、今日コンサートがある事、私にとって手術をする前に先生にお会いできることほど心強いことはありません。メッセージである「嘘」「世界」には驚くと共に、自分の中が奥深く抉られていくようで、ガン検査を受けているようでした。その居心地の悪い何とも奇妙な中で、自分の膿をすべてさらけ出したい衝動に駆られます。これ以上、何もかも耐えられないと叫びたくなる感じです。気づいたら、無我夢中で拍手をしていました。何が起こったのか分からないほど、アンコールは夢中でした。時間がなくなると様々なことが明確に見えてきます。嘘や逃げも明確に浮き出る今、私にできることは言葉に表すことだと気づきます。明日の仕事を最後に、暫く休みを取ります。今の私が伝えるべきことは伝えました。最後まで仕事をやり切ります。コンサートで力を与えてくださり、ありがとうございます。

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