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本の読み方 / 発言者:nagao nobuco

高麗さんは子供でいらした頃、図書館の本を片っ端から読み漁ったと仰る。それを聞いて格の違いを感じずにおれない中、何年前か忘れたけれど、webサロンに「本が読めるようになりたい」という内容の書き込みをした。乱暴だったように思うが、当時の私は本が読めなかった。数年経って読めるようになった。本当の意味では読めていないこともあるだろうが、『聖なる快楽』も『ヨブへの答え』も、一周は読了できるくらいにはなった。この程度のことでも進歩していることに痛く感じ入るのだけど、もともとの素質が馬鹿か否かはさておいて、香りを感じながら、集中をしながら、文章を読めないということは、ものを作り出せないということに等しく、そのようにする術を身に付けられなかった学校教育とその社会背景を通り抜ける中で、身を守ることに精一杯で魂すら投げ捨てた自分の姿を恨めしく思う。しかし今でこそ空間が直に皮膚や臓器や魂に触れるような時であるが、当時の余計なものをいっぱいはらんだ空間の中では、私は先生にお会いしても、恐らく、先生より俗世間を取っただろう。

こんな私でも今ここに生きていることに、静かな海が音を立てて泣いている。

今からでも遅くない、幼稚園、小学校、中学校で投げ捨てた感性も勉強も、読書も書くことも、とにかく真に触れる作業の全てを取り戻す。真実をわかることも、なにもかも、私にとっては因子があっては全て叶わないことだったのだ。

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