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いだきの空間 / 発言者:Kazue Fujiwara

出会いは突然でした。その看護師の方は、朝部屋に入るなり充電していたサウンドシステムを見て、「これは何ですか」と開口1番に聞かれました。部屋は携帯電話から流れる先生のピアノとハッカ油の香りの空間。「ハリーポッターを読んでいるんですね。私は活字すら、もうどうでもいいと」「私もあれこれ欲張り持ち込みましたが、実際入院したらそんな事すらどうでもいいと思いました。でも最近は夢中です。」気づけば、その方はご自身を語りその方と私が重なる瞬間。頑張って頑張って自分を鼓舞し、戦ってきて身体を壊されたのでしょう。自分から出る溜め息でなく、相手に向けられた溜め息は凶器になります。「私はこんなに働いているのよ。」無言の吐き捨てが身体を襲い辛いと。皆んな自分の身を守ろうとしている。目に見え辻褄が合っていきます。何かが私の中で動き、ナースセンターに向かいました。三鷹のコンサートをメモして白いコーヒーを片手にひとつ。サウンドシステムから流れる、光輝くピアノが降り注ぐ空間の中、メモを見るなり「風のホール、素敵な名前」その瞬間、考えたのでなく自然と言葉が生まれます。先生の事、コンサートの事、エチオピアコーヒー、白いコーヒー。別人のようにその方の笑顔と声が和らぎます。「私の方が癒されました。また来たくなる空間」とお礼と共に戻られました。白いコーヒーを飲んで頂けたでしょうか。出会いが繋がりますようにと願います。更に、初めて夕食を届けてくれた可愛い若い看護師の方も、ドアを開けた瞬間、「癒される空間」と叫び笑顔が溢れていました。今、正に人が求めているのはいだきなのだと、教えられた今日です。私自身は、退院前日にして危ういところで怪我をするところでした。股関節に違和感があり、角度によって痛みが生じて踏ん張りが効きません。医師に確認したところ、長時間に及ぶ手術時の無理な体勢によるものではないかとの事です。それなのに、シャワーを浴びた後、バスマットを直ぐに引かずについ大丈夫と足を伸ばした瞬間、歯止めが効かず滑り、更に右股関節を痛めてしまいました。あんなに退院まで集中して過ごすと決めていたにも関わらず、このザマです。大事に至らず胸を撫で下ろしましたが傲慢でした。戒めとして受け取ります。

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