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愛犬から学ぶこと / 発言者:Kazue Fujiwara

数日の間に愛犬の衰弱が進み、離乳食をいくつか買っても全く食べようとしません。動物病院に連絡をしたら、食べるのを待っていたら、どんどん衰弱するのでシリンジで強制給餌をするように指示され、慌てて思いつくままに、高齢犬用の牛乳と介護食を買ってきました。ところがペーストに薬を混ぜても、細いシリンジになかなか通りません。途方に暮れながらも、嫌がる愛犬と悪戦苦闘しながら何とか溶かした薬の分だけは与えました。お互いに疲れ切り、酸素ハウスに愛犬を入れたらバランスを崩し転がり倒れました。ところが、立ち上がるどころか、そのまま転がったままの状態で身動きもしないではないですか。その姿を見た瞬間、「死なすわけにはいかない」と突然強い意志が働きました。「可哀そうだから、この辺で」などと言っている場合ではないと気づくと同時に、冷蔵庫から缶詰と介護食を取り出し、先生のオリーブオイルと共に、考える間もなくフードプロセッサーにかけていました。何かを考えたのではなく、自ずと身体が動いていました。念入りにペースト状にしたものをシリンジに通し、愛犬に食べさせていました。さっきまで途方に暮れていた、あの状況が嘘のようです。彼はシリンジを通して口に入れると、舌を動かし頑張って食べてくれました。その後、椅子から降ろすと歩きたくても後ろ脚に力が入らず、一歩も動けません。何とか前足に力を入れて頑張っていますが、やがて力尽きその場で伏せてしまいました。昨夜とはまるで違っています。痩せ細った身体を抱き、泣くことしかできないのでしょうか。食べさせることより、病状の進行に負けているのでしょうか。慌てて何とかしようと、再びシリンジで離乳食を食べさせようとしたら、全力で拒否されました。先程とはまるで違う彼の意志の強さに驚くと同時に、自分の身勝手な事に気づかされました。酸素ハウスの中でお座りをし、ハーハーと息を吐いています。心臓が苦しいのでしょうか。「どうぞJullyを助けてください。」と、その姿を見て大泣きしました。ところがです。私は一体何を今、大泣きしているのかとハッと気づいたのです。今、彼はこうして生きて頑張っているではないか。それなのに、私は何を泣いているのかと。突然、何かが変わりました。先程の可哀そうとか、自分勝手な涙に浸っていましたが、今なすべき事はそんな事ではないのです。先生の迎賓館でのサウンドシステムが鳴り響く中、頭が突然しっかりしました。と同時にJullyも落ち着き、今はスヤスヤと眠っています。ほんの数時間の間に、様々な事が起こりました。気づいては、囚われ、また気づく。現象や感情に囚われることなく、頭をしっかり働かす瞬間瞬間が大事であると、愛犬から学んだ夜です。ありがたいです。

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