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セレンディピティ / 発言者:tmiyazaki

  岩手県から青森県にかけて「ナニャドヤラ」という不思議な盆踊り唄があり、「甚句」や「さんさ踊り」のルーツと目されているにもかかわらず、諸説紛々、杳としてわからない唄があるが、この前の日曜日、京都で、「在野研究家のこぼれ話」という日本キリシタン史を研究している人(70年代に京都で活躍した知識人で、プロテスタントの牧師さん。86歳になる。宮崎県高鍋から出てこられたのだ。横川澄夫氏)の講演会に出て、大きなヒントを得たのだ!
  とても柔軟な思考の持ち主で、足尾鉱山の田中市兵衛さんがそんなに大悪人かどうか調べたりした人であり、急に何の理由もなしに高鍋に転居されたのだったが、80歳からパソコンを始め、このほど『管見日本キリシタン史』4冊を上梓されたのだ。面白い話だったが、わたしがびっくりしたのは、初期キリシタン伝来の裏に鉱山開発のための技術輸入という側面があったということだ。徳川家康は鎖国令の後もバテレンたちを使い、各地の鉱山開発にかかわらせたとか。(詳しいことはまだ資料を読んでいないからわからないが…)
フランシスコ派の宣教師たちは、まずスペインで鉱山開発に携わり、ルソンに行き、そして日本へ来たとか。キリスト教の伝来の裏にそういう経済的な理由があったのだ。
  そして、わたしはかねて「鉱山」と民謡の伝播に注目していたが、なかなかそこまで手が回らないでいた。2000人くらいの人が急に山奥に集落をつくり、大いに賑わい、そして鉱脈を掘り尽くしたら急にいなくなってしまう。ちょうど三池炭鉱と「炭坑節」のようなものだ。だから鉱山の盛衰と歌の流行は必ず関係があるはずなのだ。だから、今回、思いもかけない発見ができたように思うのだ。「ナニャドヤラ」がヘブライ語であるという説や、キリストの伝来といわれる青森県戸来との関係が一挙に分かったのだ。つまり、南部の鉱山開発に伴ってキリスト教が入ってきたのではないかということ。
 九州各地の隠れキリシタンも鉱山との関係でとらえ直さなければならない。86歳の先達の話を聞きに行って、思わぬヒントを得て、うれしくてならない。また研究の道が開けた!

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